途上国の支援について、いろんな本を読むと、
専門家が現地に行っていいことをしたと思いがちですが、
その後の現地がどうなっているかという報告はほとんどされていないのが実状です。

実は、支援という名の下に、現地の人々にとって害になることが
行われていることも少なくありません。

例えば、私のいる地域にも支援プロジェクトが入って、
出産時の会陰切開が指導されました。
これは分娩時に会陰部を切開する介助法です。
その目的は、赤ちゃんを少しでも早く出してあげることと、
裂傷を負う前に切開して縫ったほうが後々きれいになること、この2点です。

しかし、現地の人々は、生む前に切開すると
赤ちゃんが元気に出てくると理解したんです。

しかし、切開した後に問題が起こりました。
切開した後は縫わなければいけません
縫うためには局所麻酔剤注射器ガーゼドクターの手袋が必要です。
抗生物質も飲んだ方がいいです。
じゃあ、この七つのものが買えない人はどうなりますか?

傷が開いたまま病棟に戻り、その結果産褥熱で亡くなった人がいたり、
会陰がそのまま傷として残ってしまって夫が逃げた人がいたりと、
いろんなことが起こったのです

一方、私のクリニックでは現在までに、2670人の赤ちゃんが誕生していますが、
会陰裂傷を起こした人はそんなに多くありません。
なぜかと言うと彼女らがいい体をしているかです。

裂傷するとかわいそうだと思って会陰切開を教えた結果、
貧しい人たちが泣いているんです。

こういうことが、途上国支援の現場ではたくさんあります。

本当の意味での国際協力をするためには、
まず現場をきちっと見ることが大切です。
既成概念を持って見るから
「途上国は汚い」
「手洗いを教えてあげなきゃ」
「水が汚いから煮沸消毒を教えてあげなきゃ」

と思ってしまうんです。

もう40年以上そういうことをいろんな国の人から言われているので、
みんなベースは知っています。
知っていてやってない、できない理由があるんです。

そんなことも含めて、現場をまずきっちりと曇りのない目で見ることが必要です。

私がやっていること本当に節介です。私がやりたくてやっています

なぜやっているかというと、このままだとフィリピンで
自然なお産が残っていかないと思うからです。
それを残したいんです。

自然なお産で生まれた赤ちゃんってそんなに泣きません
もちろん妊娠中の様子もあります。
妊娠中のお母さんが穏やかだったという前提が付きますけど。
家族













自然なお産の恵みって何だろうと考えてみました。

自然に生まれた子どもは、次の子を自然に生める力を持っている思います。

産道からから出た直後から自然な状況にさらされると、
子どもの免疫能力は高まります。
そしてお母さんと一緒にいると赤ちゃんは安心して育っていけます

例えば、生まれたばかりの赤ちゃん私がお風呂に入れると赤ちゃんは泣きます。
それで、お母さんの横に戻したらピッと泣きやむんです。
生まれて間もないのに母さんが誰で、
誰が一番安心できるのかわかっている
んですね

ですから母子分離のない自然なお産が続いてほしいなと思っています。


命をみつめて~6 つづく


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