「陰陽」という言葉を私はよく使います。
料理は、火や塩、しょうゆ、味噌を使って、
陰性の植物を陽性にする仕事です。
また、人間が作る野菜には、大きく分けて根っこと葉っぱがあります。
土の中へ向かって伸びていく根の下降性の力は、
陽性の土根性(どこんじょう)を作ります。
それに対して、太陽に向かって伸びていく
葉の上昇性の力は、陰性です。
食べ物にも陰性があって、
カリウムが多いものが陰性で、
ナトリウムが多いものが陽性です。
カリウムには体を冷やしたり、緩めたりする働きがあり、
ナトリウムには体を温めたり、収縮させたりする働きがあります。
肉や魚、卵など、タンパク質の取り過ぎは体によくありません。
昔の人も魚を食べていましたが、陰陽を生かした食べ合わせのおかげで、
病気になりにくかったのです。
現代では、食べ合わせを考えて食べる人が少なくなりました。
例えば、魚を食べるときは大根おろしを添えて食べます。
魚を煮る時はショウガを入れたり梅干しを入れたりします。
昔の人は陰陽という言葉を知らなくても、
陰陽のバランスの取れた食生活をしていたんです。
これが昔から伝わっている日本人の食の知恵です。
しかし、何も知らない現代人は魚の食べ過ぎによる病気が多いんです。
そこに加えて、卵や肉も食べるようになってきたために、
さらに様々な病気を抱える人たちで溢れているのです。
私たちは自分の体で血液をつくって生きています。
同じように、タンパク質もカルシウムもつくっています。
「タンパク質をつくるためには、
タンパク質をたくさん取らなければいけない」
と考える人がいますが、決してそんなことはありません。
タンパク質を取り過ぎて、アミノ酸に分解されないまま
吸収している人が多いのです。
それでも毎日のように肉や魚、卵を食べるのを止めない。
だから、病気になるんです。
「食べるのは、ご飯と味噌汁、漬け物、煮物でいい」
と私はいつも言ってます。
新鮮な米や野菜を食べていれば、
タンパク質は体の中で勝手につくられます。
毎日肉や魚を食べなくてもいいんです。
今のお母さんたちは、毎日子どもに多くのタンパク質を食べさせています。
そんなことではアレルギーやアトピー、喘息などの病気は無くなりませんよ。
昔の子どもはどうだったか。
戦時中は今のように食べ物はありません。
でも、みんな元気でした。
子どもは体温が高かった。
今の子は35度から36度と体温が低いです。
体温の高い赤ちゃんを生むためには、やはり両親の食生活です。
お母さんの基本的な食生活をご飯と味噌汁、
季節の野菜にしなければなりません。
普段の自分の食が、我が子にまで影響を与えることを意識して、
ちゃんと食を見直し、実践することが必要です。
そうすれば、私のように生きられますよ(笑)
肉だ、卵だ、魚だと毎日タンパク質ばかり食べていたら、
こんなふうに生きられません。
逆に、タンパク質なんか食べないから、
私はここまで働けるんです。
私の村の動物たちも病気一つしていません。
彼らが何を食べているか?
卵や肉など食べていません。
ほとんど草ばっかりです。
それでも、自らタンパク質もカルシウムも、
そして子孫も、しっかりつくって生きています。
自分の体は自分でつくっていることに気付いてください。
そして、できる限り自然に沿った生き方をすることです。
そのためにも、先祖が残してくれた食の知恵と
伝統をもう一度振り返って学び直しましょう。
食物は薬 薬は食物~4 おわり。。。
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カテゴリ: みやざき中央新聞より
食物は薬 薬は食物~3
皆さんは毎日三食、ちゃんとご飯を食べますか?
三食ちゃんと食べているのに、間食していませんか。
口寂しいと言って、いつも何かしら食べていると、内臓は休むことができません。
内臓も、人間と同じようにお休みが必要です。
常にお腹が満たされている状態を保つのではなく、
空腹の状態をつくってあげることが大切なんです。
そうすると、内臓は休むことができます。
今日はちょっと体調が良くないなと感じたら、
一食でいいから食事を抜いてみてください。
三食必ず食べなきゃいけないなんて、誰が決めたんですか?
現代の病気のほとんどが食べ過ぎからきています。
それも、体に悪い物の食べ過ぎです。
体は欲しがっていないのに、口や心が欲しがるものばかり食べてしまう。
それでは、健康維持なんてできませんよ。
自分の体の声に耳を澄ませて、臨機応変に対応することが大切です。
「塩梅(あんばい)」という言葉があります。
料理では味の加減のことですね。
私が開く料理教室で、食材や調味料の分量をよく聞かれるのですが、
私は量ったことなんてありません。
料理は本来、その日食べる人の体調を考えて作るものだと思っているからです。
例えば、伝統的な日本の調味料である塩は、
体が必要とするミネラルを調達する大切なものです。
疲れている時など、体が塩分を欲していれば味付けを濃くするでしょう?
決められたレシピ通りに作るのもいいですが、
食べる人のその時の体調に合わせて作るやり方も、
現代の人たちは学ぶ必要があると思います。
また、健康な体をつくる上で、天然の塩を
毎日しっかりと取ることは欠かせません。
昔の人は、塩を1日30㌘以上取っていました。
今、減塩のお味噌がお店で売られていますけど、
私は減塩のお味噌なんて使いません。
減塩はいろんな病気をつくります。
治る病気も治らなくなります。
保存食は塩気が利いているでしょう。
塩を減らして味噌を造ったらどうなるか。
夏になったら全部腐っちゃいますよ。
醤油だって塩が利いていなければ腐ります。
梅干しやたくあんも塩ががっちり利いてるから、
長時間の保存ができるんです。
だから、減塩という言葉に惑わされちゃダメなんです。
毎日しっかりと塩を取ることは健康の秘訣なのです。
ある日、電車に乗っていたら、
「飴食べませんか?」
と聞かれたので、すかさず、
「結構です。それより梅干し食べますか?」
と、逆に聞いてみました。…変な顔されました。(笑)
なめるなら梅干しがいいです。
減塩をしていない無添加・無農薬で、3年物の梅干しが理想です。
一粒食べます。
その梅干しの種を半日、口の中で噛まなくていいから転がすんです。
そうすると、唾液がたくさん出てきます。
物を食べる時、体の中の酵素は消化と吸収と排泄のために働いてくれます。
ご飯を食べる時には、体の中で約2㍑の酵素が働きます。
そこで、梅干しをなめていると唾液がより多く出ますから、
2㍑以上の酵素の働きが起こるんです。
「梅干しは三毒を消す」
と言って、全身の毒を消すと言われています。
食べ物の毒、飲んでいる水の毒、そして、血の毒を消してくれます。
塩も梅も人間の体を立て直すために重要な食べ物です。
ぜひ、この「塩梅」を取り入れて血液と体を自分で立て直していきましょう。
食物は薬 薬は食物~3 つづく
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食物は薬 薬は食物~2
だから、症状を改善させるためには、
血液をきれいにすればいいわけです。
32本ある人間の歯が教えてくれています。
臼歯が20本あるということは、
人間は穀物や雑穀を主として食べる動物だということです。
そして、日本人ならやっぱりお米です。
お米は単に食料というだけではありませんよ。
お米からできた血液が体を造り、
日本の精神をつくり、
大和魂を作るです。
ただ栄養がある、なんて次元のものじゃないんです。
私は普段から、自然農作で作った、
「分づき米」(玄米を何割かだけ精米したもの)
を土鍋で炊いて食べています。
もちろん玄米食はおすすめですが、
一人ひとりの体の状態によって効果は違います。
柔軟に判断して自分に合ったものを見つけることで、
健康な血液を造ることができるはずです。
次に大事なのは、新鮮な野菜です。
その土地で採れる四季折々の旬の野菜が最も体にいいです。
風に吹かれ、お日様に当たり、雨に打たれ、
雪に埋もれて育った自然の野菜を食べている人は元気です。
しかし、最近の野菜は【F1種】と呼ばれる種からできているものが多いです。
これは在来種とは違い、人工交配によって作られた、
子孫を残せない一代限りの品種です。
私がそれに気づいたのは35年ほど前です。
お店で売られている野菜がどんどん品質改良され、変わっていきました。
今では1年中、夏野菜も冬野菜も当たり前のようにお店にあふれています。
自然の営みに人間がここまで手を出していいのかと、
私は疑問に思っています。
野菜は天然自然の環境の中でも、
水も肥料もやらなくても生き生きと育ちます。
ものすごい生命力で土の中で生き、命を繰り返します。
「自然に任せた野菜と、人の思い通りに改良した野菜、どっちが体にいいですか?」
その答えは一目瞭然です。
だから私は、野菜だけでなく自生の野草も勉強し、食べ方を研究してきました。
人間がいろいろと手を加えてものにろくなものはありません。
農協に行っても、種屋さんに行っても、
日本の在来の種はもう無いんです。
その先にある「食」に人間の未来はありません。
だからこそ、私は全国を回って野草料理や生きる知恵をお伝えしています。
野草はお金がかかりません。
畑で仕事をしなくても、野原や土手や田んぼに行けば
簡単に手に入れることができます。
例えば、よもぎです。
昔は春になると、野に出てよもぎを摘む習慣がどこの家庭にもありました。
それをてんぷらにしたり、味噌汁に入れたり、よもぎごはんにしたり、
草もちに入れたり、野菜感覚で食べていました。
よもぎを食べる生活をしていると、血液がきれいになります。
また、よもぎには造血作用があるので、貧血の人にもおすすめです。
「草で楽になる」と書いて「薬」です。
野草は本当に体を楽にしてくれます。
「病院に行って健康になる」
という発想はおしまいにしましょう。
食や暮らしの知恵と工夫があれば、いくらでも健康的に生きていけます。
新鮮なお米とお野菜、そして野草中心の食生活をしていくと、
血液がきれいになり、細胞と内臓が元気になります。
そして、生き方や考え方も明るく前向きに変わってきます。
そんなふうに、「食」を変えていくことで、
世の中を変えていくことができるのです。
食物は薬 薬は食物~2 つづく
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食物は薬 薬は食物~1
(3月21日に福岡で行われたマナキッチン主催の講演会より)
みやざき中央新聞の記事からご紹介します♪
私は77歳になりますが、メガネも補聴器も持っていません。
健康診断なんて行ったことありません。
とても健康で元気です。
皆さんの体調はいかがですか?
今、欲に任せて悪いものばかりを食べ続けた結果、
自分の体をガタガタに壊してしまっている人が本当に多いです。
人間にとって、食べ物というのは一番大事です。
私は常々
「食物は薬、薬は食物」
という言葉を使っています。
体に現れるすべての症状は、みんな食べ物で治したらいいんです。
そのためには、
「何を食べるか」
という日々の選択、つまりは
「自分の意志で体はつくられている」
という自覚をしっかりと持つ必要があります。
この間も、ある大学の女の子たち30人の前で話をしました。
その時に、
「生理痛のある子、手を挙げてごらん」
と聞いたら、ほぼ全員が手を挙げました。
若い子たちだけじゃありません。今の女性は…
貧血・冷え性・低体温・便秘症・低血糖症・低血圧症・不妊症など
複合的に症状を抱えています。
もちろん女性だけじゃなく男性も一緒です。
その最たる原因が、食べ物や食生活だと私は確信しています。
私の住む京都の綾部市には、若者たちが移住してきています。
もともと綾部に住んでいた方々が高齢になり、
亡くなって、空き家が増えているので、
その空家を何とかしようと役所が動きまして、
外から若者を集めているんです。
1人で入る人もいれば、カップルで入る人もいます。
そして、ほとんどの人が都会生活で食が乱れ、
様々な病気の症状を抱えています。
そこで、既に住んでいた私たちと一緒に、
お米やお野菜を作ったり、お味噌やお醤油を造ったりし始めました。
また、それらと一緒に綾部で採れる山菜や野草を食べるようになりました。
そうやって食生活を変えていった結果、みんな健康な体を手に入れています。
そして、限界集落といわれる綾部で今までに20人近くの子どもが生まれています。
今、この国は根底から狂っています。
国がおかしくなった原因はやはり、食にあると思っています。
食べ物が悪いから、子どもから老人までおかしくなるんです。
家の中でも親子、夫婦、兄弟の仲が悪い。
家庭というのは小さな社会です。
そこがおかしいということは、日本の社会も当然おかしいわけです。
そして、社会の次は天候です。
今、異常気象が多いですね。
これが自然だと思うのは大きな間違いです。
爆弾型低気圧だとかゲリラ豪雨なんて、昔は聞いたことがありませんでした。
すべての原因は人間にあり、食にあると私は考えます。
だからこそ、一人ひとりが変わらないといけません。
政治や企業の悪口を言ってもどうしようもありません。
世の中をよくしたいと思ったら、まずは自分自身の心と体を健康に保つことが必要なんです。
食物は薬 薬は食物~1 つづく
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命を見つめて~7
ワーッと寄ってくる子どもの後ろにいる、ボーッと見ている子どもたちに
目を向けて欲しいんです。
そういう子が一番問題を抱えているからです。
そういう子がいたら、その場所にちょっと留まって、
折り紙でも何でも、子どもたちが興味を引くことをしてください。
そして、寄って来られずに後ろにいる子にも声を掛けてあげてください。
そしたらたぶん、将来その子は
「昔、色の白い人が、私に声を掛けてくれて、私の頭をなでてくれての」
と言うようになります。
褒められた経験、認められた経験は子どもを必ず成長させます。
かわいがってもらった子は一歩を踏み出せます。
愛されるってどういうことかを知っている子は
自分の子どもを愛せるようになります。
でも、知らないまま育つと、子どもを愛せない大人になってしまうんです。
途上国の支援を考えた時、日本の暮らしが
日本だけのもので成り立っていないことを意識して欲しいんです。
例えば、木の製品、割り箸をはじめ、紙、トイレットペーパーなどの原材料は
ほとんどがアジアからの輸入です。
それらの木を伐採した後の途上国はどうなっているのか。
植林なんてされていませんから、大雨が降ったら、
大規模な土砂崩れが起こってしまいます。
なぜ大雨で、土砂崩れが起こるんですか?
生えていた森の木を伐採したからです。
誰が使ったんですか?
私たち日本人です。
私たちが今のこの便利な暮らしを続ける限り、
どこかの環境を破壊しています。
その結果、現地の人たちの生活が脅かされているのです。
だから、いろんなことに関心を持つことは国際協力の第一歩になります。
例えば、ティッシュペーパーでテーブルを拭かずに、
布の台拭きを使って下さい。
そして、台拭きを使う時に子どもに教えてください。
「台拭きのほうが環境に優しいんだよ」って。
こういうことを伝えていくことも国際協力になるんです。
それから、日本の子どもたちが元気に育つことも国際協力だと思います。
なぜかと言うと、日本って
「人はみんな平等だ」
とちゃんと教えている国だからです。
よその国は、人は平等だと理屈は教えているかもしれませんが、
実際は違うことが多いです。
例えばフィリピンでは、病院に患者さんを連れて行くと、
重症であっても、看護師さんの第一声は
「お金ありますか?」です。
日本でそんな状況だったら、病院のスタッフは
すぐ患者さんをストレッチャーに乗せて、
「いつからこうなんですか?」
と問診しながら処置室に搬送すると思います。
日本人は、人に対する尊厳を持っています。
だから日本人が元気でなきゃいけないんです。
今の温室のような社会で育ってしまうと、病気になる子が増えます。
それじゃダメなんです。
子どもが
「国際協力に行きたい」
と言ったら、
「あなたなら大丈夫よ」
と言える健康な体に育てることも国際協力になります。
また、今いる子どもたちに、昔の子育てを
伝えていくことも国際協力になります。
日本社会がまず健全であること。
日本人が元気であること。
そしてお年寄りから生きた知恵をもっと学ぶこと。
いろんなことがすべて国際協力につながると思っています。
命を見つめて~7 おわり
宮崎おっぱい会主催の講演会より…冨田 江里子
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